「入れ墨お断り」揺れる京都

目にする機会が増えたタトゥー(入れ墨)。マイナスイメージが強い日本では生活上、制約を受ける場面がある。今年のラグビーのワールドカップ(W杯)や来年の東京五輪パラリンピックなど多くの外国人の来日を見据え、スポーツ団体や関係者は対応を模索している。
 「刺青(いれずみ)・タトゥーをした方の入館は固くお断りします」。プールやジムが入る京都市健康増進センター「ヘルスピア21」(京都市南区)入り口の看板だ。外国人の来館も多く、英語も併記。辻本成秀総務課長は「公の施設なので利用者に迷惑を掛けないのがルール。入れ墨やタトゥーも畏怖心を与えることがある」。
 入れ墨やタトゥーがあると、国内では一部のプールや海水浴場などで利用が制限される。生命保険の加入も難しい。日本赤十字社はウイルス感染を防ぐため、タトゥーを入れて6カ月以内の献血を禁止している。ちなみに昨年夏のサッカーW杯で活躍したポルトガルクリスティアノ・ロナルド選手は献血を理由にタトゥーを入れていないという。
 銭湯などの公衆浴場は、公衆浴場法では入れ墨だけを理由に入浴を拒めないとされる。実際は各施設の判断によるところが大きく、家族連れが多いスーパー銭湯の多くは利用禁止をホームページに明示。京都市内のある施設の担当者は「時代の流れで個人的にはいいと思うが、年配者やお子さんは嫌だと思う人もいる」。
 こうした中、競技団体や国は配慮を求め始めた。ラグビーの国際統括団体「ワールドラグビー」は、日本でのW杯に出場する選手やサポーターに、公共のジムやプールでは上着でタトゥーを隠すよう求めている。観光庁は2016年、入浴施設に対し、タトゥーを入れた背景に留意し、覆うなどすれば入浴できるような対策を促した。ヘルスピア21はその前年から、テープなどで隠して完全に見えないようにすれば利用を認めている。辻本課長は「帰ってもらうのも忍びない。文化の違いもあり、互いの歩み寄りが必要」と話す。